
「サーモグラフィーで外壁劣化が分かる仕組みを技術的に知りたい」──建築士・施工管理者からの本質的な質問です。
赤外線サーモグラフィーは物体の表面温度を非接触で可視化する技術。本記事では物理的原理から、外壁劣化検出のメカニズムまで整理します。
赤外線とは

電磁波の一種で、可視光線より波長が長い領域(0.78〜1,000μm)。物体は温度に応じて固有の赤外線を放射します(プランクの放射則)。
サーモグラフィーカメラは、この放射された赤外線を検知し、温度として可視化します。
外壁劣化検出のメカニズム

健全な外壁とは異なり、浮き・剥離部は躯体と仕上材の間に空気層ができています。
空気層が引き起こす温度差
| 要素 | 健全部 | 劣化部 |
|---|---|---|
| 構造 | 仕上材-下地モルタル-躯体が密着 | 空気層あり |
| 熱伝導率 | 1.0〜2.0 W/m·K | 空気 0.024 W/m·K |
| 日射時の表面温度 | 緩やかに上昇 | 急激に上昇 |
| 夜間の表面温度 | 緩やかに下降 | 急激に下降 |
つまり、空気層がある部分は周囲より早く熱せられ、早く冷める。この温度差が画像として現れます。
検出条件

良好な撮影条件
- 日射のある日中:壁面が陽光で加熱される時間帯
- 晴天:雲による日射ムラがない
- 風が弱い:撮影の安定性
- 温度差が出やすい時間帯:午前10時〜午後2時頃
撮影が困難な条件
- 雨天・雨後直後(壁面が均一に冷却される)
- 真冬の曇天(温度差が小さい)
- 真夏の夜間(熱がこもり差が出にくい)
- 壁面に陽が当たらない時間帯
サーモグラフィーカメラのスペック

業務用赤外線カメラに必要な性能:
| 項目 | 推奨スペック |
|---|---|
| 解像度 | 640×512以上 |
| 温度分解能 | 50mK以下 |
| 視野角 | 30〜45度 |
| 温度測定範囲 | -40〜+550℃ |
| 画像周波数 | 30Hz以上 |
沖縄ドローン株式会社が採用するDJI Zenmuse H20Tは上記をすべてクリア。
検出できる劣化パターン

① タイル・モルタル浮き
最も典型的な検出対象。周囲より温度が高い斑点状として現れる。
② シーリング劣化・漏水
水分が浸入した部分は温度が低く、周囲より青く写る。
③ 笠木の滞水
笠木付近の長期的な水溜まりは、夜間に冷えて青い帯として検出。
④ 鉄筋腐食(コンクリート爆裂)
腐食による膨張でコンクリート内部に空隙ができ、浮きとして検出可能。
解析のポイント

温度差の判定基準
- 浮き・剥離:周囲より1〜3℃以上高温
- 漏水:周囲より1〜2℃以上低温
誤検出の回避
- 設置物の影による温度低下
- 配管・空調設備の温度
- 表面汚れによる吸収率の差
これらは可視光画像と併用して判別します。
沖縄環境での注意点

- 海塩粒子の付着による吸収率の変化
- 強い日射で温度差が出やすい一方、過剰な放射ノイズ
- 台風直後は壁面が均一に冷却されているケースあり
まとめ

- 赤外線サーモグラフィーは物体の放射赤外線で温度可視化する技術
- 外壁の浮き・剥離は空気層による温度差で検出
- 解像度640×512・温度分解能50mK以下が業務基準
- 日射・気象条件が検出精度に直結
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